「一次は過去問で受かった。でも、二次はどう勉強すればいいのか分からない」
建築設備士の二次試験(設計製図)で、多くの人がここでつまずきます。
理由ははっきりしています。 二次試験は、市販の対策教材がほとんど存在しないからです。
一次試験なら、書店に過去問題解説集が並んでいます。 ところが二次試験になると、対策本が見当たりません。何を使って勉強すればいいのか、その入り口で迷ってしまうのです。
私は令和5年度の二次試験に合格しました。
この記事では、市販教材がほとんどない中で、独学者がどうやって二次を攻略していくかを、私自身の受験経験をもとにお伝えします。
建築設備士の二次試験が「独学しにくい」3つの理由
まず、なぜ二次試験は独学が難しいと言われるのか。理由は大きく3つあります。
- 理由1:市販の対策テキストがほとんどない
一次試験は過去問題解説集が市販されており、独学でも十分に対応できます。 一方、二次試験は対策テキストがほとんど流通していません。過去問を手に入れても、模範解答や採点の考え方までまとまった市販教材は、なかなか見つかりません。 - 理由2:記述・製図・計算を、5時間30分で完成させる特殊な形式
二次試験は、知識を問うだけの試験ではありません。 計画条件を読み取り、記述問題に答え、設備計画を立て、製図まで仕上げる。これを5時間30分という長丁場で完成させる必要があります。知識があっても、この形式に慣れていないと時間内に終わりません。 - 理由3:毎年、課題テーマが変わる
二次試験は、その年ごとに課題となる建物用途が変わります。令和8年度はホテルが課題です。 過去の模範解答をそのまま暗記しても通用しません。「なぜその設備計画になるのか」という考え方を理解していないと、変化する課題に対応できないのです。
この3つが重なるため、二次試験は「一次と同じ感覚で独学しようとすると苦戦する」試験になっています。
結論|二次は「講習会+本試験形式の演習」が合格への近道
先に結論をお伝えします。
二次試験は、公式講習会で基本を学び、本試験形式の模擬試験で演習を重ねる。この組み合わせが、独学者にとって最も現実的な合格ルートだと私は考えています。
二次試験は市販教材が少ないため、その年の課題に沿った考え方や製図の進め方を体系的に学べる機会が限られています。 公式講習会では、その年のテーマに合わせた設備計画のポイントや製図の進め方が解説されます。市販の参考書では得られない情報が多く、独学者にとっては貴重な教材になります。
一次試験の自己採点である程度手応えがあれば、できるだけ早めに申し込むのがおすすめです。人気の会場は定員に達することもあるため、早めの行動が安心です。
ただし、講習会だけで十分とは言えない
ここが重要なポイントです。
私自身、講習会を受講しましたが、それだけでは足りないと感じました。 講習会で学べるのは、あくまで「考え方」や「知識」です。本番で問われる「5時間30分の時間配分」や「本試験の流れ」は、講習会だけではなかなか身につきません。
だからこそ、講習会で基本を学んだうえで、本試験形式の演習を重ねることが必要になります。
講習会で得られるもの(実体験)
私が受講して、特に価値が大きいと感じたのは、配布される専用テキストです。
- その年の課題に沿った想定問題と模範解答が手に入る
- 必須問題の記述例が詳しく載っているので、繰り返し学習できる
- 製図問題についても、その年のテーマを想定した内容が用意されている
市販教材がほとんどない二次試験において、その年のテーマに特化した想定問題と模範解答がまとまって手に入るのは、それだけで受講する価値があると感じました。
講習会の進み方(受ける前に知っておくとよいこと)
講習は朝9時から始まり、空調→衛生→電気の順に、分野ごとに講師が入れ替わって進みます。
自分が選択しない分野の時間は席を外してもかまいませんが、最初の受付は必須です。 このため、電気を選択する人は自分の講義まで待ち時間が長くなりやすい点は、知っておくとよいでしょう。
【重要】選択分野は「実務に近い分野」を選ぶ
二次試験では、空調・衛生・電気の中から選択して解答する問題があります。 どの分野を選ぶかは、合否に直結する重要な判断です。
私の実体験からお伝えすると、選ぶべきは「自分の実務に最も近い分野」です。
選択分野の記述で専門外のテーマが出ると、その場で対応するのは非常に難しくなります。逆に、日頃の実務で扱っている分野であれば、想定外の切り口で問われても、知識と経験でカバーできます。
私は1回目に空調を選んで不合格、2回目に衛生に変えて合格しました。 設備サブコンで実務をしている方であれば、衛生は比較的戦いやすい分野だと感じています。自分がどの分野で日々手を動かしているかを基準に、選択分野を早めに決めておくことをおすすめします。
二次試験は「演習量」が合否を分ける
実際に二次試験を受けて、私が一番強く感じたことがあります。
それは「時間が足りない」ということでした。
設備計画を考えながら製図を進め、さらに見直しまで行う。これを5時間30分で終わらせるのは、想像以上に大変です。 知識があっても、手を動かすスピードと時間配分ができていないと、最後まで到達できません。
本試験と同じ5時間30分で模擬試験に取り組むと、次のことが見えてきます。
- どこで時間を使いすぎているのか
- どの作業を効率化すべきか
- どの分野が苦手なのか
これらは、実際に本番形式で通しで解いて初めて分かります。そしてこの経験が、本番当日の大きな自信につながります。
私の失敗:1回目は不合格(B判定)でした
正直にお話しすると、私は一度、二次試験で不合格になっています。
1回目は空調設備を選択しました。 このとき苦しんだのが、必須問題の記述です。埋めるのに思ったより時間がかかりました。
原因は、講習会テキストの想定問題からヤマが外れたことです。 テキストにもある程度の問題数は載っているのですが、私はそれを覚えきれず、範囲を絞ってしまっていました。その絞った範囲から出題が外れ、記述で手が止まったのです。
製図の方は、想定問題とほぼ同じ課題だったため、ある程度は書けました。時間もそこまで圧迫されず、途中退出可能な時間には退出しています。 それでも結果はB判定。記述の失点が響いた形でした。
2回目:選択分野を変えて合格
翌年、私は選択分野を空調から衛生に変えて臨みました。
このとき痛感したのは、専門外の分野を選ぶことのリスクです。 記述問題で専門外の内容(私の場合は電気)から想定外の出題があると、対応できません。一方、自分の実務に近い空調・衛生の内容であれば、ある程度は書けます。
設備サブコンで実務をしている方であれば、衛生を選択した方が記述で戦いやすい、というのが私の実感です。
そして1回目・2回目を通じて分かったのは、記述は「絞ったヤマ」ではなく「広く演習した量」がものを言うということでした。
市販教材がないなら、本試験形式の模擬試験で演習する
講習会で基本を学んだあとは、本番形式で解く練習を重ねるだけです。 しかし、ここで再び「市販の模擬試験がない」という壁にぶつかります。
私が1回目に落ちた原因も、まさにここにありました。講習会のヤマを絞って覚えた結果、そこから外れて記述で失点したのです。 この経験から言えるのは、記述は「絞る」より「広く数をこなす」方が安全だということ。想定できるテーマをできるだけ多く演習しておけば、本番でヤマが外れるリスクを減らせます。
そこで私は、令和8年度の課題「ホテル」を想定した、本試験形式の模擬試験を自作しました。
収録しているのは、実際の試験と同じ構成です。
- 問題冊子(設計課題・計画条件・建築概要・必須問題・選択問題)
- 建築基本設計図(配置図・各階平面図・断面図など)
- 本試験形式の答案用紙
- 模範解答・採点ポイント・自己採点用の解説
- 製図の模範解答
まずは1回、時間を測って通しで解いてみてください。 「解けたつもりだったのに、時間内に終わらない」という自分の課題に、そこで初めて気づけるはずです。

演習量を一気に増やしたい場合は、5回分をまとめたセットもあります。宴会場、温浴施設、プール、ZEB、寒冷地リゾートなど、設定の異なる課題を通して、幅広い設備計画に対応できるようになります。
記述問題は「書き方の型」で得点が変わる
二次試験でつまずきやすいのが、記述問題です。
同じ知識を持っていても、書き方によって伝わり方は大きく変わります。
たとえば、採用する設備の名前を書くだけでは十分ではありません。 「どの設備を選ぶか」だけでなく、「なぜ選ぶのか」「どんな効果を期待するのか」まで、一連の流れで書けて初めて得点につながります。
ここは、知っているかどうかより「書き慣れているか」で差がつく部分です。 だからこそ、記述はテーマごとに繰り返し練習し、自分なりの「型」を持っておくことが有効です。
私は、模擬試験15回分から必須問題を抽出し、テーマ別に再編集した記述対策の教材もまとめました。 「なぜその設備を採用するのか」「どう書けば伝わるのか」という視点で、記述の考え方そのものを身につけられる構成にしています。




AIを使うと二次の復習効率がさらに上がる
私は現在、NotebookLMやChatGPTなどの生成AIも活用しながら学習しています。
たとえば、次のような流れです。
このサイクルで復習すると、参考書を読むだけでは得られない理解の深まり方をします。 近年はAIを活用することで、独学でも質の高い学習環境を作れるようになりました。
実際に私が使っているプロンプトや活用方法は、別の記事でも詳しく紹介しています。




よくある質問
- 建築設備士の二次試験は、独学だけで受かりますか?
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講習会の受講に加えて、本試験形式の演習を重ねることをおすすめします。市販教材が少ないため、講習会で考え方を学び、模擬試験で時間配分と本番の流れを体に入れるのが現実的です。
- 模擬試験は何回分やればいいですか?
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できるだけ多く、が理想です。最低でも本番形式で数回は通しで解き、時間配分を確認しておくと安心です。設定の異なる課題を複数こなすと、応用力がつきます。
- 記述問題はどう対策すればいいですか?
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「設備名だけ」で終わらせず、「なぜその設備か」「どんな効果か」まで書く練習をします。テーマごとに繰り返すことで、書き方の型が身につきます。
- 二次対策はいつから始めるべきですか?
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一次試験の自己採点を行い、手応えがあればすぐに始めましょう。公式講習会は定員があるため、申し込みは早めがおすすめです。
まとめ|二次は「演習量」で決まる
建築設備士試験は、一次と二次で求められる力が大きく異なります。
一次試験 過去問を繰り返し解き、法令集を使いこなす。独学で十分に対応できます。
一次試験の勉強法(過去問の使い方・法令集の作り込み・おすすめ参考書)は、総合ガイド記事で詳しく解説しています。




二次試験 市販教材が少ない分、公式講習会で考え方を学び、本試験形式の模擬試験で演習量を積む。この組み合わせが近道です。
さらに、NotebookLMやChatGPTなどの生成AIを活用すれば、限られた勉強時間を効率よく使えます。
二次試験で問われるのは、知識の量そのものより、それを時間内に形にする実践力です。 講習会・模擬試験・AI学習を組み合わせて、自分に合った方法で合格を目指してください。
















